(1)生成AIとの付き合い方
昨年、いや以前から始まっているAIによる画像処理が一気に進化しだしてかなり完成度の
高い画像が生成出来るようになった。その生成方法もいたって簡単で、Photoshopの場合、
切り抜きツールを使って余白を作り生成ボタンを押すだけ。時間も僅か20秒ほどである。
なんの手を加えることもなく3枚の候補を出してくれる。まさに魔法の杖と言っても過言で
ない出来である。ようは、今までレタッチャーたちが時間と手間と知恵をかけて著作権を
クリアした画像をいくつも使用したり、描き出したりしていた作業をAIが短時間でやり遂げ
てしまうのだ。これには筆者もさすがに驚き、その出来を初めて見たときは言葉が出ません
でした。例えば、下の画像は縦位置で撮影していますが、横位置にして、しかも右側にコピー
が入るほどのスペースを作りました。数年前からこの程度の作業は手動を交えてかなり作業
時間が短縮されてきていましたが、現在は切り抜きツールで簡単に余白を作りボタンを押し
て20秒ほど待つだけで以下の通りです。
元画像
右側を生成拡張で極端に伸ばす。
この手の生成拡張には撮影者の同意だけあれば、編集者やデザイナーでサイズに合った画像を
自由自在に作れるので、何の問題も発生することなく、とても有効な手段と言えます。
次に、外で撮影された画像ですが、
元画像
左側を生成拡張で極端に伸ばす。
こちらは、元画像はリアルなものですが、生成拡張された部分はAIが独自に作り出したものなので
あまり現実からかけ離れたものでは、NGとなります。あくまで、写っていない現実に近くないと
後々問題となる可能性を秘めています。
そこでやってはならない生成拡張の一例を。
言わずと知れた富士山の画像ですが、左右の赤で×を打たれている部分は、生成拡張により作り
出された実際にはないものです。言わばフェイク画像となるので、慎重な取り扱いが必要と
なります。素人でも簡単にできてしまう生成拡張ツールは、日々進化しているので精度も上がり、
濃く多くなってきています。とても役立つソフトではありますが、使用は慎重に。
(2)カメラから外付SSDへ動画データを書込
ミラーレス一眼カメラほぼほぼ全てについている動画収録機能。
少し昔の一眼レフデジタルカメラとは違い、高性能のブレ防止装置も付いて、多種多様な動画記録形式
も備えている。現在、シネマレベルの撮影ができるカメラも多数存在するし、実際に映画やドラマ、
CM撮影でも使用されてはいるが、一般ユーザーはスチルカメラオンリーで使用されるケースが
ほとんどのようです。理由ははっきりしていて、動画を撮るのに面倒な設定やピント合わせ、複雑な
操作があるので、やはりビデオ専用カメラやスマートフォンを使うケースが多いように見受けます。
そんな状況でも各メーカーはミラーレス一眼カメラの動画記録機能を飛躍的に進化させている
ので、2024年1月現在のハイエンド機に搭載されている動画記録機能とその後のデータ処理に
ついて記しておきます。筆者は現在、スチルと動画を撮影するのにLumixGH6を使用していますが、
このカメラに関しては、プロフォトグラファーで使用されている方にお会いしたことが一度もありません。
プロフェッショナルユーザー登録されている方の数でもビデオグラファーが多いとのことです。
フルサイズセンサーの半分しかないマイクロフォーサーズでは、ダイナミックレンジに物足りなさ
を感じるのでしょう。実際に同じLumixのフルサイズセンサーカメラのデータと比べると、その差は
歴然で、スチルをRAWで撮影しても出来の良さはフルサイズセンサーカメラには適いません。
しかし、動画RAW撮影で4~6K弱となれば話は別。
pixel-by-pixel で負担少なく画角もそれほど狭めたくないというのであれば 、マイクロフォー
サーズは有効です。高画質のApple ProResやBlackmagic RAWを記録するとなると巨大なデータを
高速転送書込みが必要なため、フルサイズセンサーよりも小さなマイクロフォーサーズセンサーのほう
が有利で、熱対策もしやすくLumixGシリーズのGH6以外のカメラも動画機能はかなり充実しており、
先ごろ発売されたG9ProⅡもファームアップでRAW記録を可能にしています。今、新たにマイクロ
フォーサーズサイズカメラをスチルメインで購入というのであれば、G9ProⅡをお勧めします。
しかし、2年前に発売されたGH6でも、その後数回のファームウェアアップデートで、昨年は
Blackmagic RAW(Blackmagic Video Assistが必要)に対応し、ATOMOS社製
NINJA-V+/NINJA-VでのApple ProRes Raw記録や多くの動画記録形式機能を追加し、外部SSD記録
にも対応してくれたおかげで、G9ProⅡと比べても動画だけを撮るのであれば、それほど遜色はない
と感じました。GH6の場合、オートフォーカスに少々難を感じるのですが、内部冷却装置が優れて
いて内部CFexpressでのApple ProRes HQ記録も可能で、短時間記録でわざわざSSDを装着する
必要がない場合、かなり有効です。そして細かなつくりと配慮とでも言いましょうか、背面液晶
モニタがチルトするので、左サイドにはみ出て邪魔になりやすいバリアングル液晶モニタより
使い勝手が良いかと感じます。今は別売りとなったバッテリーチャージャーも付いているので、手軽
にシネマ映像を撮りたい方には今でもお勧めです。
本題であるSSDですが、Apple ProRes 422 HQ / ProRes 422が記録可能で、2TB USB3.2 Gen2
Type‐Cという厳しい条件を満たせば快適に2時間17分記録出来て、その後のデータ運用も楽々。
自社製のシネマレンズやサードパーティー製のアナモフィックなどのシネマレンズが豊富なマイクロ
フォーサーズカメラはコストパフォーマンスも良くて、GH6は耐久性、熱対策にも優れていて、動画機能
も充実しているので、トータルバランスから考えると最良のプロ用動画カメラと言えるかもしれません。
さて、今回のテーマであるSSDへの書込みですが、NINJA VやBlackmagic Video Assistを使って
Raw記録するためにはSSDが必要で、全てのシステムを繋ぐとかなり大きくなり、お世辞にもポータブル
とは言えません。ですので、Rawは諦めて筆者はSSDだけを繋ぎApple ProRes 422 HQを記録すること
にしました。ただし、メーカーサイドとしては自社製には無い商品なので、推奨としてSamsungと
SanDiskが扱っている5機種を挙げています。これらは規格をクリアし動作確認済とのこと。
しかし、それではテストとして面白くないので、あえてリストにない同じ規格のバッファロー
SSD-PHPA/N 2TBを繋いでテストをしてみました。このSSDもSamsung製とSanDisk製同様に
防塵耐衝撃性はあるとのこと。結果は何事もなくクリア!
内部を冷却する必要もなく、エラーなしで記録できるので、長時間記録も安心です。
実はCFexpressも2TBは存在するのですが、現在1枚10万円以上と高価であることと、驚くほどの
熱を発するので、悪条件下での長時間内部記録は少々危険かもしれません。後にパソコンへの転送や
最適化作業、直接確認を考慮すると安価で衝撃にも強いSSDは有効選択と言えます。
次に撮影後の編集作業ですが、こちらが問題で、Apple ProResで記録した場合、Windowsとの
相性がよろしくないようでして、当然のことでしょうが、作業全般はMacintoshがお勧めです。
SSD内のデータ直接確認も転送も編集もMac Studio等がベターと言えます。
メディアエンジンもMPEG-4 AVCの後継HEVC、今回のProResコーデック、ProRes RAWはApple社が
先行導入、もしくは開発したものなので、作業効率から考えると、この選択をお勧めします。
BlackmagicRAWもMacintoshから派生したもので、今でもiPhone専用ソフトも出していて互換性
があり、作業はWindowsより快適のようです。
記録したSSDを直接WindowsPCに繋いでデータ転送中
Apple ProRes 422 HQで記録した5.7K動画データからのコマ出し
M1チップ搭載のMacbookAirに記録した277.55GBのデータを転送してみたが、約6分と短時間で完了
SSD内部にあるApple ProRes 422 HQデータを転送せず直接QuickTimeで再生しているが
止まることなくなめらか再生できている。撮影直後のその場確認が簡単にできる。
写真と違ってデータ量が膨大な動画ファイルは、パソコンに転送するのも時間がかかります。
外で撮影したデータをパソコンで直ぐに確認したい時はSSDのほうが扱いやすく、形式がApple ProRes
で記録したデータであれば、パソコンはMacbookがベター。
巨大化する動画データの扱いは、プロのクリエイターたちもかなり苦労しているようで、筆者もカメラ
からパソコンに至るまで、何を使えばいいかという質問はよく耳にします。ハイクオリティ動画を安く
早く確実に処理するには、今のところ記録媒体はSSDが最適ではないでしょうか。
(3)収録した大容量動画データの後処理
前の記事の続きになりますが、Apple ProRes HQでC4K60pや5.7K30pとなると無事収録できたとしても
後のデータ処理が大問題となります。筆者はいつものようにWindowsのPCに内蔵している大容量HDDにコピー
をして、PremiereProで編集作業に着手しましたが下記のエラーが発生し、音声が出なくなり映像も鈍くな
りました。
原因が分からず作業が止まってしまい、このままでは収録したものを全てMacで編集しなければならず、
それでは不便で不効率なのでAdobeのコミュニティーに質問を投稿したら、ある方がその日のうちにエラー
が起きたシステム全体の構成等を聴取してくれて、解決へと導いてくれました。Adobeのようなメジャー
ソフトとなると、その道のエキスパートがずらりといるので、こちらが事細かに説明すれば、かなりの
確率で不具合を解消できます。
何が原因か?先ずは下の画像の画質メニューで、1.9Gbpsとなっていますが、意外とピンとこないので
スルーしてしまいます。ようは1,900Mbpsということですから、データが大きすぎてHDDの転送速度で
はスムーズに読み出しが困難です。
本来、仕事にしている者は気付かなければいけないのですが、エラーが出ると慌ててしまいます。
この場合、メディアは内蔵ないしは外付けのSSDとなります。そして、繋ぐためのUSBコードも
ハイスピード対応でPC側もUSB3.1 Gen1以上である必要があります。
下の写真内3本のUSBはどれもC⇔Cですが、左の細いコードは収録等でエラーが発生したので
使用はお勧めできません。
とても恥ずかしいお話ですが、同様のトラブルを経験される方もいるかもしれませんので
このページに記しておくことにしました。
(4)LUMIX S5m2・S5m2Xがメジャーアップデートで大変身
4月22日(月)にパナソニックのフルサイズセンサーミラーレス一眼LUMIX S5m2・S5m2Xのファームウェアアップ
デートが予告通りサイトにアップされたので、早々に手持ちのS5m2をバージョン3.0にアップしたら、かなり有効な
機能が確認できました。この2機種を既にお持ちで、まだアップデートを済ませていない方のために記しておきま
す。カメラがデジタル化され、各社一眼レフからミラーレス一眼への移行が始まりだした頃からでしょうか、
発売されて数か月、一年以上経過しても段階的にファームウェアアップをかなりの数と内容で繰り返し、不具合
修正と新機能追加をしてくれるので、発売から1年経っても新製品のように感じるのが現在の一眼カメラ事情かも
しれません。本題のLUMIX S5m2・S5m2Xの今回アップデートはまさにそれで、劇的に修正と機能追加を施して
います。大まかには5つの大きな新機能&修正にプラスいくつかの細かな修正を施しています。
大きな5つとは以下の通りで、
・Frame.io Camera to Cloudへの対応
・Proxy記録機能の追加
・SHプリ連写機能を追加
・自動認識の強化
・手ブレ補正機能の強化
ですが、一般ユーザーに必要な機能は「SHプリ連写機能を追加」「自動認識の強化」「手ブレ補正機能の強化」
の3つでしょうか。どれもかなり有効でプロにとってもとてもお得な機能追加&強化と言えますね。
「SHプリ連写機能を追加」は、動きが読めない動物の決定的瞬間やスポーツでのインパクトを捉えるには有効な
機能でしょうか。「自動認識の強化」は、人物・動物・車・バイクを設定できるようになり、弱かった瞳認識も
出来て、信頼性の低かったオートフォーカス機能が、かなり高いレベルで改善されています。
そして今回のアップデートで、目玉の一つと言えるのが「手ブレ補正機能の強化」ですが、ジンバルやリグに
一切依存することなく、手持ち歩行撮影で進行方向や自撮りで、標準ないし強に設定して実行すれば、
クロップで画角は狭くなるものの、激しく細かいブレ・揺れを感じません。
「SHプリ連写機能を追加」
シャッターボタンを半押し状態から記録を始めるので絶妙のタイミングを捉えるのが難しいシチュエーションでは
威力を発揮する。結果として多くのカットを記録することとなるが、メディアが大容量化している現代は大きな
問題ではない。リテイクが少なくて済む。作例はテイク1のみ。
「自動認識の強化」
作例は人物認識でさらに瞳認識設定にして顔をあちこちに動かし自撮りテストしているが、以前に比べて
精度が向上しているのは確認できた。
「手ブレ補正機能の強化」
今回の目玉追加機能の一つで、設定は「強」にして外付けスタビライザーもジンバルも無しでボディを手持ちで歩行し
ながら収録しているが、手持ちだと感じさせない補正力はさすがです。ただし、「強」に設定するとクロップが大きく
かかり、20mmが28mmぐらいになるので、想定より広めのレンズを持つ必要があります。
上記の3つだけでもかなりのインパクトがあるアップデートではありますが、筆者が今回最も評価するのが
「Frame.io Camera to Cloud」への対応機能です。これはWi-Fiか携帯電話のUSBテザリングで画像データと
Proxy記録をクラウドに送信できるという機能で撮影したばかりの画像を送信予約設定すれば、無線でクラウド
へパソコンなどのデバイスを使わずに自動送信してくれます。例えば、RAWデータを画像処理担当するスタッフ
がクラウド共有すれば、どこにいても撮影直後に直ぐダウンロードして画像を加工なり合成なりして即アップ
ロードも可能となります。映像データはもう一つのアップデート「Proxy記録機能の追加」で軽いデータを
アップするので、現場に居なくても映像確認と現場への指示が指示が可能となり、作業全体のスピードアップと
コスト削減に一役買いそうです。
「Frame.io Camera to Cloud」
新しくメニューに加わったFrame.ioを選択
設定は極めて楽ちん、データを共有するパソコンのウェブブラウザでFrame.ioを
立ち上げ6桁のペアリングコードを打込めば接続完了。
接続が出来れば、接続済のプロジェクトがメニュー画面で確認できるので、その後送る画像・動画形式
といつ何を送るかを設定するだけ。設定後、何もせず撮影したものをどんどん送りたければ、予約にチェック
を入れれば、撮影中何もしなくても画像はクラウドへ自動で送られる。画像選択して必要なカットだけ
送りたければ、プレビュー画像にチェックを入れるだけで送信してくれる。Wi-Fi機器以外のデバイスを
何一つ使うことなく、共有クラウドにアップできるので、撮影後のワークフローを劇的に変えることが
できる画期的なソフトウェアでしょうか。
スポンサー、デザイナー、レタッチャー、コピーライターなど撮影者以外のスタッフがリアルタイム
で実画像を確認・作業できるので、現場へ赴くことも不要になるケースが増え、大きなコスト削減に
つながることが考えられます。
そして動画については、数百MBから数TBの実データをWi-Fi無線で送信し、受信側が共有作業を施す
ことは現在の通信環境では不可能なので、別メディアに同時記録される軽いProxyデータ送信対応が
現実的と言えます。そこで必要なのが以下の作業です。
「Proxy記録機能の追加」
今回のアップデートでProxy記録が可能となったので、画質設定で「プロキシ可能」
画質を選択し、アップロード形式のProxyを選択すれば、後は画像送信と同じ要領で
MP4の比較的高画質なプロキシ動画が共有できるので、クオリティやサイズよりも、
そこそこの出来でスピード優先したいのであれば、リアルタイムLUTで収録した
プロキシ動画をネットでいち早く使用するという手も有りかもしれません。
以上が大きなアップデートの内容ですが、新モデルで採用し新発売するのではなく、昨年中旬に発売した
現行モデルに無償で搭載してくれるのはプロフェッショナルユーザーにとっては嬉しいファームアップと
いえるでしょうね。そして特筆すべき点は、高級機種ではない安価な中級モデルにプロフェッショナル
仕様のメニューを付加してくれるというのは、かなりお得ではないでしょうか。
(5)Photoshop25.11アップデートでテキスト生成
今月7月23日にアップデートされたPhotoshop製品版バージョン25.11は、待望のテキスト入力による生成AIでの
画像生成を可能にしたことが最大の目玉でしょうか。ベータ版を使用されていた方はすでにご存じですが、すでに
存在するウェブ上で作るFirefly Image 3がPhotoshopに組み込まれたわけで、Photoshop内で白紙から画像生成作業が
完結することになります。2つのソフトを行き来しなくてもPhotoshop内で作業が完結するというのは、オペレーション
する側にとってはかなり手間が省けて時間短縮が出来る便利ツールと言えます。他にも選択ブラシツールと調整ブラシ
ツールという新機能が追加されましたが、これも複数の作業を一つに集約して作業効率を格段にアップしてくれる
ツールとなっています。
先ずはテキスト生成AIですが、これは参照画像をもとに作りたい画像をテキスト表現し、写真orアートを選択し、
どんな効果にするかを選べば数十秒でAIが画像を作り出すというものです。
ただしここで注意が二つ!
・参照画像の使用許可があるかどうか?を使用前にたずねられます。
・使用にあたり作業は学習され無償提供が条件となるので、公開したくない素材・作業は避ける方がいいかも。
これらを念頭に置いて作業に臨む必要があります。
下の作例は未修正の実写をもとにテキスト生成しています。
かなりの精度の良さが確認できましたが、あり過ぎる翼や足りない足、認識不能な曖昧部分があるため修正を
施しています。
上の実写は、筆者自身が撮影したもので、著作権はクリアしております。次のパイナップルも同じで、自身の
Stockを参照させて作成しています。
こちらはそのままでも使えそうなクオリティですが、パイナップルが目立たないので少し調整を施しました。
参照画像だけ用意すれば広告などで使えそうな画像は、数十秒で手に入るのだから恐ろしい。その参照画像も
スマートフォンを使えば、写真撮影の知識がなくても簡単に手に入ります。筆者も現在は、スマートフォンを
持ち歩き、日々様々な被写体を撮影しストックしています。
生成AIの結びに欠点についてですが、細部の具体的な表現はまだまだ無理で、下の画像のような案件は細部を
拡大するとごちゃごちゃしています。
「未来の宇宙船船内の通路、窓からは宇宙が見える」というテキストで生成してみました。
↓
次に、生成AIを他のツールと合体させて手間を大きく省いてくれる「選択ブラシ」と「調整ブラシ」について
「選択ブラシ」はブラシでラフに部分選択をして、その部分だけをAIが認識して、別の画像を部分生成置き換えを
数十秒で完了してくれます。
バストアップ画像は茶色の背広ですが、背広をブラシで大まかに選択し、テキストを打込みグレースーツに変更。
全行程を1分とかからず出来上がり。
更に顔を部分的にもっと明るくしたいというときに便利なのが「調整ブラシ」です。
スーツ変更後に顔下部がやや暗く感じたので「調整ブラシ」で明るさ・コントラスト調整を選択し、レイヤーを
自動で出し、なぞって顔の暗部を調整。今までであれば調整レイヤーでブラシ等で部分選択して調整したりして
いたので時間がかかっていましたが、このツールでかなりの時間節約が可能となりました。
待ち望まれていたツールが搭載され、しかも便利で簡単に変更が出来てしまうという正に正に魔法の杖
の出現で、レタッチ専門の業者はどうなるのでしょうか?
ここまでくると、写真に関する専門知識もそれほど必要なく作業が出来てしまいます。
さてさて、この先に待っているものはなんでしょうか?
(6)フルサイズで世界最小・最軽量の広角ズームの実力
Lumixのフルサイズ用広角ズームレンズが発売された。なんでも世界最小・最軽量だというので、久しぶりに
ちょっと試したくなった。というのも広角レンズは仕事であまり使用しない筆者なのです。せいぜい24mmまで
しか使いません。もう少し広くしたければ、HDRで繋ぐ方がスタンダードとなっている。今回は18-40mmと
広角側が16mmまで行かず、標準側も35mmではなく40mmまであることが、以前好んで使っていたCanonの
17-40mmを思い出させたからである。まずCanonの17-40mmについてだが、まだデジタル一眼レフカメラ初期
の頃で、デジタル専用の広角レンズが無くて広角ズームとして初めて販売されて、その画質の良さとズーム
範囲が気に入り仕事でもプライベートでも多用したことが今も脳裏に焼き付いている。今回のレンズは同じ
ようなズーム範囲で世界最小・最軽量で掌に乗る。値段も71,280円(税込)とお手ごろだ。
質量約155gとかなり軽量で、重さを感じない。ちなみに同じシリーズの16-35mmF4.0は500gである。
ポケットに入る大きさなので、バッグを持たず標準・望遠ズームを装着して出かける時に役立ちそうだ。
レンズを装着しているとズームレンズに見えない。
この小ささと軽量が今の時代にドンピシャではないかと思い、即購入。
と、なると使い勝手はイイとして、画質である。先ずはカーテンをしたそれほど明るくない自室を18mmで撮影。
f8、1/60secで手持ち撮影だが、この手のレンズに多い周辺域の乱れや収差がほとんどない事に驚かされた。
画面全体の描写も申し分ない。これなら、ボディに付けっぱなしで動画用セカンドカメラとして、とっさの
手持ち収録が可能だ。
次に屋外だが、こちらは18mm、24mm、40mmを試してみた。
どの焦点距離でも周辺域での落ち込みや流れが全くと言っていいほどない。古くから、フィルム時代を経験して
いる人であれば、この大きさのレンズは見ただけで敬遠してしまう。私もだが、ここまでとれてしまうと太鼓判
を押さないわけにはいかない。そしてもう一つ、接写テストだが、これはどうか?
これも難なくクリアできている。葉っぱの反射部分で色収差等を検証したが、高価なレンズと比べてもなんら
遜色がない。このLumixのSシリーズレンズは、高倍率小型レンズの描写力がどれもいい、いや恐ろしいほど
良すぎて、単体レンズを使う気になれない。現在仕事でボカシは、PhotoshopのRaw現像段階で加えることが
多いため、レンズでボカすことはほとんどない。仕事の場合、時間さえあればボカシたものと両方撮れば済む
ことなのだが、実際そうはいかないので、安全策を取ってパンフォーカスで捉える。
最後に、現在のミラーレス一眼は動画撮影に重点が置かれているので動画撮影はどうか?
Lumixシリーズは15年前に発売されたGH1から動画撮影が出来て、手振れ補正技術もPanasonicが開発したもの。
この小型レンズを装着して、どの程度の出来か手持ち撮影で見る必要がある。
ジンバルは使用せず、雲台とグリップだけを付けただけで、グリップの重りは外した状態で手ブレ補正を
標準モードで撮影してみたが、強風の中でもジンバル撮影をしたような出来である。
大きさからみて、かなりの高性能でありながら、持ち運びを意識した作りになっている。小さいながらも広角から
標準をカバーし性能にこだわったのは、今年6月に発売されたフラットデザインのフルサイズミラーレス一眼カメラ
LUMIX DC-S9 の常備レンズとして、カメラ好きとまではいかないが高画質と携帯性を重視するユーザーを
取り込みたかったのではと考える。筆者もフラットデザインミラーレスは多種使ってきているが、カメラ機能に
制限が多く仕事向きではなく、使える場面が少ないから購入は見送った。
ただ、今回のテーマである18-40mmレンズは仕事でも十二分に使える性能と使用場面があると考えるので、
他の大型広角レンズを所持している方にもお勧めです!この軽さと精度に慣れてしまうと他のレンズを使わなく
なるかもです。