(1)写真とカメラの今2018 その1
昨年の第一回目「カメラの今後」についての続編ですが、数回に分けてこのページで掲載予定です。
2017年は年初め予想した通りの展開で一年が過ぎたようで、一眼レフデジタルカメラの売上は微減。これに
ついては大多数の方が予想されていたようですが、よほどメリットのある機能と画質を提供しない限り、一眼
レフデジタルカメラの明るい将来はないのではないでしょうか。一眼レフカメラをフィルムの頃から35年以上
使い続けてきた者にとっては寂しい話ですが、これも時代の流れでしょうか。すでに見かけなくなったフィルム
大型カメラの後を追うのでしょうか。完全にデジタル化された今、メリットのある機能と画質が実現できても
コンシューマには不要なカメラとなってしまうのでしょうか。今でも存在するアナログレコードプレイヤーの
ように。
そんな将来性が見込めなくて技術的にも頭打ち傾向の一眼レフデジタルカメラに代わって、ミラーレス一眼
カメラが徐々に目立ち始めた2017年でもありましたが、写真というモノ、いやデータを扱う主役はカメラではなく
スマートフォンのようです。コンパクトカメラは既に餌食となり、存在も風前の灯火のようで、360°カメラなど
のような特殊なカメラ以外は生き残れない状況になりつつあります。しかしこれらの特殊カメラもスマートフォン
との連携が不可欠で、単独では存在価値がないようです。
スマートフォンがこの世に無かった数年前では考えられなかったことですが、移り変わりが早くなり予測不能に近い
写真の今と写真の主役から外れそうなカメラをいろんな角度から考察したいと思います。
先ずは最も気になるスマートフォンが写し出す画像についてですが、ソフトウェアの急速な進化で、その実力は
年々、いや半年ごとに目に見える成果があります。筆者は所有していませんが、昨年もテストをしたiPhoneの
後継機iPhoneXの画像を撮影した直後にいただき早速解析してみました。撮影状況は薄暗い居酒屋店内です。
そんな悪条件でフラッシュ無しの簡単撮影したものが下の写真。
撮影した素のデータですが、これを見て誰がスマートフォンで撮影したと思うのでしょうか?
さらにびっくりしたのは露出。なんとISO160、f/2.4、1/9秒です。
これで上の写真が撮れてしまうとは、数年前では考えられなかったことです。
さらに画像の補正拡大とプリントテストですが、もちろん拡大に耐えうる解像度はありませんが、画素数が1200万画素
もあるので100%で見ることなどないでしょうし、手札サイズなら全く問題なし!これなら就活・証明書用の写真にも
十二分に使えてしまいます。
もともとコンパクトデジタルカメラは写真を撮りたくても知識や技術に自信のない方たちの道具ですから、シャッター
を押すだけで美しく撮れなければならないという使命があります。しかし、コンパクトデジタルカメラに搭載されて
いる技術では、そうならないシーンのほうが多く初心者には難しい道具でした。しかしスマートフォンには難しい
操作もなければiPhoneXのように撮影スキルも不要です。さらに強力な助っ人ともいえる無限に広がるアプリ群が
簡単加工してInstagramやFacebookへ短時間でアップしてしまう。この完璧に近いフローを崩すことはもはや不可能か
もしれません。筆者もいくつかの画像加工ソフトをいろいろと試し入れ替えながらInstagram等にアップしています。
特にAdobeが提供するソフト群はプロが仕事で使えるものもあり、たいへん重宝しています。
AIを駆使し、文字検索ではなく画像検索をするという時期搭載機能アドビセンセイのプロローグともいえる
Adobe Capture CCやAdobe Scanをスマートフォンのカメラ機能から即実行できるので、仕事の時間短縮ができています。
この状況からもコンパクトデジタルカメラは特定の商品を除いて市場から消える日が訪れるのかもしれません。
では将来も残りそうな特定の商品とは?ですが、
昨年発売されたソニー『サイバーショット DSC-RX0』がそれにあたるかもしれません。
手のひらにのっかる黒いサイコロのようなシンプルスタイルカメラです。
値段は7万円以上ですからコンパクトデジタルカメラとしてはやや高価ですが、人気はあるようです。
売れる理由はスマートフォンや他のカメラでは出来ないことが出来るからとでも言いましょうか。
まるで玩具のようなスタイルですが、重要パーツである撮像素子が1インチであることやカールツァイス・レンズ
のテッサ―を採用しカメラの肝は抑えられているようです。撮れる画像・映像はマイクロフォーサーズのカメラと比較
しても申し分ないことと、何よりも水につけたり落下による衝撃にもかなりの耐久力を発揮してくれるので、悪条件下
での無人撮影が簡単に行えるというということでしょうか。カメラに限らずスマートフォンなども耐水・耐衝撃性能は
高くないので、かなり手荒に扱えるというのが特徴と言えるでしょう。複数台同時コントロール出来るCCB-WD1(2018
年2月16日発売予定)を使えば、狭い場所での本格マルチカメラ写真・動画撮影もできてしまいます。
フラッシュ撮影はできませんが、LEDライト商品が充実してきているので、人口光を足して定常光撮影をすれば
プロの現場にも対応できるのではと考えます。
ちなみに写真・動画のテストは以下の通りです。
●室内で窓からの外光だけで撮影。比較したのは2017年4月に発売されたCanonM6です。
●外で16連写したうちの一枚です。
●木陰の地面に広がる落ち葉ですが、解像度と色再現性の良さは上級機に迫るでは?
最後にFHD動画テストですが、HDMI出力(内部録画不可)で4K撮影も可能にする超小型業務用ビデオカメラ
と言っても過言ではないでしょうね。
このような奇抜なスタイルと発想、そして手軽さがあり画像・映像が良くてスマートフォンとの連携さえとれれば
コンシューマにも受け入れられ、コンパクトデジタルカメラの生き残る道もあるのではないでしょうか。
ただし前述のスマートフォンは、このページで取り上げたiPhone以外にgalaxyやHUAWEIなど写真の高画質化や内部加工が
独自技術でどんどん進んでおり、カメラ単体の必要性が疑問視され始めているようで、第二第三のRX0の出現が期待される
ところでしょうか。モノ作りに長けている日本の技術を生かせば、道は明るいのでは?
と、思いたい筆者であります。
総括としては、コンパクトデジタルカメラはお手軽簡単高画質・スマートフォンとの連携と安価で便利なパーツ類充実、
そして楽しいアプリ提供で残れる道を探るのがよろしいのではないでしょうか。
2018年はスマートフォン画像とコンパクトデジタルカメラで始めてみましたが、次回はカメラに必要な進化し続けるアプリと
ミラーレスカメラについてです。
(2)写真とカメラの今2018 その2前編
前回に引き続き「写真とカメラの今」についてだが、今から7年前に『週刊東洋経済』では珍しくカメラについて
の特集が組まれた。その中でこんな記事があった「一眼レフ市場に小型ミラーレスが挑戦、一眼戦争の勝者は誰だ」
という題で、2010年末での一眼レフデジタルカメラとミラーレス一眼カメラの市場動向についてかなり詳しく書かれ
ていた。
この時、一眼レフデジタルカメラのトップメーカーCanonからはまだ、ミラーレスカメラは発売されていない。
キヤノンが初代ミラーレスカメラを発売したのはその2年後である。そして2017年の昨年のカメラ市場はどうだったか?
一度は低迷していたミラーレスカメラが売り上げを伸ばし一眼レフデジタルカメラに迫りつつある。それに対し
一眼レフデジタルカメラは微減だったようだ。考えられる理由はミラーレスカメラが一眼レフデジタルカメラにできない
便利で魅力的な機能を搭載したことが一つ挙げられるだろうか。そしてミラーレスならではの高性能でありながら
軽量コンパクトで使いやすいボディ&魅力的なレンズ群ではないでしょうか。
では一眼レフデジタルカメラではできないこととは?
まず一眼レフデジタルカメラには、超高性能のアナログ技術の結晶ともいえる光学ファインダーとミラーを備えられて
いる。だから電源を入れなくともファインダーに目を近づければ、レンズが捉える像を見ることが出来る。それに対し
ミラーレスカメラは電源を入れなければ何も見ることはできない。これが良いようでデジタル化では不要な部品となり
足を引っ張ることとなるのである。
なぜか?
もともと一眼レフというのはフィルム撮影でファインダー内の正像を見るためのものである。フィルムカメラの歴史等は
このページのテーマから外れてしまうから記さないが、レンズから通ってきた光を正像化し、フィルムとのズレを無くす
という技術はかなり高度なものである。それゆえカメラ市場はモノ作り大国「日本」が独占できた。しかしデジタルオン
リーとなれば、この余分で高価な技術が全く必要ないため、今まで参入できなかったメーカーも登場する。
ミラーがある分、レンズのバックフォーカスが長くなりレンズ設計&製作が難しくなるし、連写機能もかなり制限がある。
これらの問題を解消するにはミラーとプリズムを排除するしかないのである。
特に連写では、パナソニックが搭載しているようなプリ記録や4Kフォトといった機能が、一眼レフデジタルカメラでは
搭載不可能なのである。
だから今まではプロやマニアでなければ撮影できなかったような被写体もご覧の通り。
筆者はプロといっても動物やスポーツの専門ではないから、コンシューマと同等である。一眼レフで撮ろうとすれば
かなりの慣れと生態観察を必要とするが、ミラーレスカメラを使えば、カメラ機能で簡単にできてしまう。
そこでミラーレスカメラについてだが、日本国内のカメラメーカー各社から高性能な商品がラインナップされ
独自技術を惜しみなく搭載し、一眼レフデジタルカメラとは違った製品動向が見られる。どのメーカーも軽量
コンパクト化されていることと、共通規格で市場を徐々に拡大しつつあるマイクロフォーサーズシステム陣営
の動きが目立つ。マイクロフォーサーズシステムはパナソニックとオリンパスが策定し約10年となるが、賛同企業
も増えて、始まったばかりの2018年も3月開催のCP+に向けて続々と新しいカメラが発表されている。
今回はこのマイクロフォーサーズシステムについてだが、この共通規格採用のレンズとカメラであれば自由に
組み合わせが可能となり、一眼レフデジタルカメラ特有の「レンズのお悩み」が幾分解消される。
そんな一例がコレ↓
シグマはフィルムカメラのころから一眼レフカメラ用レンズを供給してきた老舗メーカーで、今やカメラを
よく知らない方でもご存知の方は多いはず、それとは別にLAOWAというプロでも聞きなれない中国メーカーが、
マイクロフォーサーズ用レンズを供給しています。これがなかなかの優れもので、筆者もテストをして
その描写力に驚かされました。
新宿のビル群を撮影していますが、エッジの反射部分や周辺域など詳細チェックしてもかなり良好な収差補正が
なされていることを確認できました。マニュアル操作のみですが、被写界深度スケールでみてわかる通り、
ピント合わせなんぞという無駄な操作は不要となります。とにかくカメラを向けてシャッター切るだけでいいのです。
胸ポケットに入れて持ち運べる超小型サイズでこのクオリティが得られるので驚きです。
そんな他メーカーのレンズが自由に使えることが、とてもストレスフリーな上、純正レンズも小型軽量で高性能
であることがマイクロフォーサーズの特徴で、その象徴が望遠ズームではないでしょうか。
コレ↓を見て、一眼レフデジタルカメラ愛用者はどう思うでしょうか?
どう見ても標準ズームか100ミリ前後の単体レンズぐらいの大きさで、35ミリ換算90-350ミリ望遠レンズと
なります。これで動画を手持ち撮影してもブレが少なく、描写性能もこの通り↓
この被写体の場合、ローパスフィルタを搭載したカメラであればフルサイズセンサーといえど色モアレが
起きたり、描写しきれない可能性が高く、高性能望遠レンズでも使用しない限り、こうはいかない。
この作例ではLumixGX7mkⅡを使用しているので若干の色モアレは発生しているものの、これだけの再現力が
あれば何に使用しても問題ないでしょう。そしてこのレンズも望遠ズームでありながら軽くてポケットに
入れて持ち歩き可能です。
そして高性能な小型カメラで撮影されたデータの利用についてもこの回で少しだけ紹介したいのですが、スピードを
求められる近年、仕事の現場でパソコンを介してデータを送るプレス関係者をよく見かけます。
しかし、モバイル化が急速に進んだ今、パソコンも一眼レフデジタルカメラと同様、古いデバイスの一つと考えるべき
時にきたようです。もちろん大きな作業は今でもパソコンでなければ到底無理なのですが、ニュース画像数枚、
十数枚であれば、色の不正確なノートパソコンよりもスマートフォンで十分事足ります。
そのワークフローを一つご紹介。
RAW+JPEGで撮影し、JPEGでよければそれを、調整が必要であればRAWをカメラ内部で展開する方法がベターのよう
です。ただしメーカーによっては上手く現像できないカメラもあるので、全てのカメラには当てはまりませんが、
今回テストをしたLumixに関しては、パソコンを使った現像のような細かい設定や微妙な調整は無理にしても
質の高い画像を出力できることを確認できました。現像後はWi-Fiでモバイル端末に転送、
再加工を施しクラウド等で送信先と共有ができます。
(現像は液晶パネルで各種メニューごとに調整し、実行すればJPEGデータ変換できる)
(正確な色補正や部分修正などはできないが、ニュース配信等にはノートパソコンでの現像と変わりなし!)
(少々難しい風景も思い通りのテイストに仕上げられます)
(上記のLAOWAで撮影した風景ですがロケハンして、その場から上質の画像を即送信、ここでのポイントは
通常レンズでは風景全体が分からないので、ポケットから超広角レンズを取り出し簡単撮影していることです)
そしてカメラ内部で処理した画像のその後ですが、ここから前回アナウンスしたスマートフォンアプリの登場です。
画像処理ソフトの王様Adobeが提供するLightroomCCを使って再加工を施しクラウド等で送信先と共有します。
上の写真3枚はスマートフォンで編集しクラウドに保存し、相手先パソコンがLightroomCCを使って開いたら
どうなるかというテストですが、ただただデータ共有するのではなく、同じアプリで共有し少し編集し直したい
手を加えたいという要望にお応えできるというものです。もちろんこんな面倒な作業をしたくない方も多いでしょう
から、そんな方にはクラウドのフォルダを共有していただきパソコンからでもスマートフォンからでも
確認していただける。
これらカメラ・アプリ・クラウドが急速に進化し、仕事の精度とスピード向上に役立つ環境がほぼ整った
のですから、重い機械を使いやすくコンパクトにすることをしてみてはいかがでしょうか?
現在もプロの撮影現場では圧倒的にデジタル一眼レフカメラが多く、通信手段もノートパソコンとなっている
ようですが、そろそろ変化の時でしょうか。
そして前編に、デジタル一眼レフカメラの雄、Nikon、Canonについてですが、現在ミラーレスカメラを
発売してはいるものの、まだまだ本格的な撮影やフローをこなせる機種は一台たりとも世に出していません。
しかし、今回のCP+でフルサイズセンサー搭載ミラーレスカメラを出品するのか、近々出すのかという噂は
あるようですがいかがでしょうか?
筆者の予測では、「今年中には何かを出してはくるのでは?」
と考えていますがNikon、Canonの場合、捨てられない資産の今後と価格設定、搭載機能問題?があるため
どのような箱を出してくるか楽しみです。これを予測したのはCanonがEOS5DmarkⅣを出したときですが、
デジタル一眼レフカメラはこれを最後にしようとしているような感が見え隠れしていたのです。
兎にも角にもミラーレス化は進むので何らかの変化があることでしょう。
次回後編はそのミラーレスについてもう少し詳しく(^O^)/
(番外)CP+2018
「写真とカメラの今2018 その2後編」へ進む前に開催中(3月1~4日)のCP+の様子とこのイベントから
占えるカメラの将来について記すことにいたします。
フルデジタル化されたことで参入企業も変化した昨今、とりわけ中国メーカーが大きなブースを出し始め
たようです。InterBeeのようにプロシューマが顧客ではないので、一般ユーザーにはカメラ関連商品と
いえば、まだまだ日本製オンリーのイメージのようです。
今回、筆者が注目しているレンズメーカーのLAOWAや徐々に頭角を現しているYONGNUOもブースを構えて
いましたが、真剣に見る人の姿はまばらでした。前回このページで取り上げ、その実力のほどはかなりものの
ようでして、お勧めできるレンズだと思いましたが、まだまだブランドには勝てないようです。
そんな中、一つだけ注目されていたのがドローンでトップシェアを誇るDJIでしょうか、こちらはデモフライト
でアピールし、通る人々を釘付けにしていました。筆者もしばし立ち止まり、ドローンの安定した動作に
見入ってしまいました。
他にも注目はされていませんが、小さなブースで面白い商品を出品している企業がチラホラ。
浙江省に本社を置く照明機材メーカーで、今回リーズナブルでバッテリーと交流電源のどちらでも使用可能
なLED照明を出品。光量調節はもちろん、色温度調節も出来る優れもの。
www.vistarfoto.com/en/index.asp
近年、カメラよりカメラ機能の進化が著しいスマートフォン用のジンバルを出品していた深圳のSprocomm
といったところが筆者の目に留まった中国メーカーの品々です。
毎年変わり映えのしない商品を見ているのも辛い筆者でして、新しい企業・商品に目をやりたいという気持ち
もあり、まず新しいものをウォッチングしてみましたが、来場者の視点は違うようです。
今まで通りカメラの二大ブランド、ニコン・キヤノンへと足が向かうようです。
やはり今もカメラのビッグⅡなのですね、こういうイベントにくると実感できます。
そして日本企業ですが、今年はカシオの姿がなくなり、やや寂しい気もしましたが、キヤノン、ニコン、
ソニー(旧ミノルタ)、リコー(ペンタックス)、オリンパス、フジといった老舗メーカーブースは平日とは
思えない賑わいを見せていました。
各社、実用的かつ魅力的な新製品を投入してはいるのですが、今一つのような感じがあるのと、どれも
今の価格帯からかけ離れた値付けの商品も目立ち売れそうにない感が漂っていました。
そんな中、低価格で機能充実の新製品を投入してきたのがソニー。
ソニーが力を入れているミラーレスカメラα7シリーズのⅢですが、「主役は一眼レフからミラーレスへ」
の謳い文句どおり一眼レフでは出来ない機能をふんだんに搭載し30万円台前半の価格で市場に出すようです。
細かい部分ではまだまだでしょうが、35㎜フルサイズという大型センサーを備えながら、秒間10コマ連続撮影
と高画質、そしてHDR4Kを実現しているのが素晴らしい。
そしてなにより、ミラーレスだからこそできるリアルタイム画像確認という一眼レフではできない機能が
あるのも特徴である。
そこでカメラの将来についてだが、現時点ではプロもマニアも一眼レフの使用を考えているようで
ミラーレスが主役にはなりきれてはいないので数年で交代はないでしょう。しかし、ソニーのα7シリーズを
見る限り、一眼レフの機能は限界に達しているようで、今後一眼レフがこの機能を超えることはあり得ない
でしょうから一眼レフはどこかを境に売り上げが落ち込むでしょう。
逆にミラーレスがシェアを伸ばすことが考えられます。
それを予感させる商品群がミラーレスにはありました。
ソニー同様にミラーレスが中心のマイクロフォーサーズ陣営や富士、そしてハッセルブラッドの中判ミラーレスなど、
どれも各社の個性と高機能が前面に出ていて、価格も一眼レフよりやや安価なので、一眼レフ愛好者も徐々に移行
するのではないでしょうか。
そして次の「写真とカメラの今2018 その2後編」でも紹介するLumixが一眼レフでは不可能な機能と携帯性を
備えて次代の形を表現してくれているようにもみえました。
ただし、家電メーカーのトップブランドといえど、スチルカメラは初心者のようで、二大ブランドがやらない・できない
ことを独自路線で切り開こうとしていますが、いかんせん素人であることが、このイベントで露呈されてしまい少し残念。
それはタッチ&トライコーナーで当然答えられなければいけない質問に答えられなかったことですが、今年10周年で
これからですからガチガチに固められた二大ブランドより自由度があり面白い商品が出せることでしょう。
年々縮小していくのが分かる総合カタログも参照しながら、今回のCP+を観察してきましたが、ミラーレスへの
移行を少し感じさせられました。
おっとっと、もう一つ大事なことを忘れていました。
デジタル化されてカメラだけでは完結しない時代となり、パソコンやソフトウェアの展示&デモに人だかりが
出来ていました。
パソコンはマウスコンピューターだが、ここはハイエンドグラフィックカード搭載の4K表示できるノートPCを
展示し、RAW現像の講座を開いていた。他にパナソニックは4K動画のフロー、市川ラボラトリーはRAW現像ソフト、
最後にAdobeはライトルームを使った初級RAW現像を披露。
高画質化と共にパソコン・ソフトウェアの技術革新・更新が絶対的に必要な今、これらへの注目が集まっています。
Adobeは業務用のイメージを払拭しようとこのようなブースを出し今回、力を注いでいるライトルームCCを標準化
させようと躍起ですね。クラウド環境を利用して、スマートフォンでもパソコンでもRAW現像を施せるというのは
かなり魅力的でコンシューマはおろかプロシューマにも十分訴えかけているようにみえました。
ようはコンシューマにもRAW現像を定着化させたいのでしょう。
これら、カメラのミラーレス化とソフトウェアの向上で写真の在り方は年々変化するでしょう。
来年はどのような変化があるでしょうか?
二大ブランドもミラーレス高級機を出せますかね?
(3)写真とカメラの今2018 その2後編
写真とカメラの今2018の後編は予告通りミラーレスカメラについてですが、そもそも「ミラーレスカメラって
何ですか?どういう意味ですか?」という質問をされましたので、その解説をまずは簡単に。
ミラーのないカメラという意味ですが、フィルム時代から市販されている多くの機種には、実像を確認するため
にフィルム前にミラーを配置し、上から左右逆の像を見るかペンタプリズムで再度反射された正像を見ていまし
た。現存し、今も主流の一眼レフデジタルカメラは後者の機構を採用していてフィルム時代とほぼ同じ形です。
写真のCanon EOS 6D Mark2はフルサイズセンサーを装備しながら、かなりの高機能高画質で一眼レフデジタルカメラ
のわりには軽量コンパクトといえるかもしれません。このタイプのカメラのレンズと撮像素子の間にミラーが配置
されています。この部分はアナログのため電源オフでも像の確認が可能なのです。ある意味とても便利ですが、
撮影する際、いちいちミラーが跳ね上がり振動も伝える余分なアクションと言えます。
特に大半のスチル中心のカメラで動画機能が付加された今、ミラーは最も邪魔な部品といえるのではないでしょうか。
デジタル化され液晶受像部すなわち高精細モニタで、ほぼタイムラグなく像を確認できる今、プリズムファインダー
とミラーを外すことで更なるコンパクト化とコストダウン、それに静音連写が実現できるミラーレスカメラへの移行
は進化の過程で自然の流れかもしれません。
そう、この撮像素子前ミラーがないので、レンズの後ろは撮像素子なのです。
現時点でミラー無しでレンズ交換が自由にできるカメラを「ミラーレスカメラ」と呼ぶようです。
写真の一眼レフデジタルカメラのような外観を持つLumixGH5sはペンタプリズムとミラーがないため、かなりの
軽量コンパクト。そして高性能なムービーカメラでもあります。現在、スチルカメラのほとんどにこの機能が
付いているため、この動画記録性能が重要なウリにもなっているようです。特に今はモニタ・テレビの4K化が
進み、4Kを美しく手軽に撮影できることが一つの条件のようでもあります。
この動画記録についてですが、一眼レフデジタルカメラでも可能で、4Kを記録できる機種も出てきています。
しかし、動画には必要のないミラーがあるため、これを上げて(スイッチひとつですが)撮影します。
もちろんミラーアップ撮影となるのでファインダーでの確認はできません。スチルカメラの場合、常に
ファインダーを覗いて確認することが通常とされているので、ファインダーでの確認が全くできないというの
はストレスを感じるかもしれません。だから一眼レフデジタルカメラで動画撮影をする際、液晶モニタに
ファインダーをわざわざ取り付けて撮影される方を見かけることが多々あります。
結論からしてデジタル化され、アナログ部品が不要となった今、フィルムカメラの次になくなるターゲットは
一眼レフデジタルカメラ !かもしれません。
そんな一眼レフデジタルカメラ終焉を予感させる近未来形のカメラが続々と市場に出てきていますが、
スチルカメラの形をしたハイエンドムービーカメラが近日発売のようです。
こちらはビデオ業界で最先端を行くBlackmagic Designが新しく発売するBlackmagic Pocket Cinema Camera 4K。
外観はスチルカメラのようですが、機能は動画で、RAW収録で60fpsの4Kというスペックでありながら16万円弱
という超低価格を実現!!さらに驚きは、汎用レンズのようなマイクロフォーサーズレンズマウントの採用です。
これでRAW現像が出来るマシンを持っていれば150万円以下で3台のカメラを使ってライティング込みの映画撮影が
出来てしまいます。これもミラーレスカメラの進化形といえるのではないでしょうか。最新のデバイスとソフト
ウェアを駆使すれば、誰もがハイクオリティな画像・映像を作り出せる時代に突入するのでしょうか。
写真をベースにフィルム時代を長く経験してきた筆者は、少々寂しさもありますけど、フィルムが姿を消して
デジタルオンリーの今、コスト面・体力面でコンパクトで扱いやすくてハイクオリティな画像・映像を提供して
くれるカメラへの移行は概ね歓迎なのです。
そして昨年からミラーレスカメラ市場で飛躍的な伸びと新機種を続々投入する国内各社の中で、筆者が注目した
のが3社の製品群です。写真画質で一歩リードする写真の老舗富士フィルムのXシリーズとスチルでは新興勢力的な
ソニーのαシリーズ、動画に特化したパナソニックのLumixGシリーズですが、各社、独自技術を前面に押し出し
一眼レフデジタルカメラを今年中に追い越しそうな勢いです。
今年3月のCP+で最も注目を集めたのはソニーのαでしたが、中国メーカーが台頭し、汎用性があり性能面で申し分のな
いマイクロフォーサーズ陣営も参加企業が増えて、じわりと存在感が出てきました。
筆者はその中で、家電では王様でもスチルカメラでは全く振るわなかったパナソニックのLumixに今回注目!!
2000年まで別ブランドとしてデジタルカメラを販売するも鳴かず飛ばずだったパナソニックが2001年から本腰を
入れたブランドです。2002年から搭載されるようになったヴィーナスエンジンシリーズは高速処理と高画質を
実現するために開発されたようで、現在の4K動画撮影にマッチしたようです。特に今年発売されたばかりの
GH5sは動画にかなり重きを置いており、時間制限なくC4Kの59.94p記録、150Mbps(4:2:0,8bit LongGOP)をはじめ
多彩な動画フォーマットに対応し、ある意味、スチルカメラの形をしたムービーカメラといってもいいようです。
事実、動画専門クリエーターに人気があるようです。そのコンパクトで外観からは想像できない操作性と画質、
ユニークな4Kフォトという機能もあり、近年のスチル&ムービー同時撮影にはイチオシのカメラと言えそうです。
注目はこれだけではありません。CP+に合わせてGH5sとほぼ同時期に発売したG9proはスチル撮影に特化し
シャッターレスポンスの良さが光ります。これも4K動画撮影が可能ですが、それほど多彩ではなく、スチル
中心の撮影をする方向けと言えばいいでしょうか。
ボディ内の手ブレ補正機能が昨年発売され高評価を得たGH5をさらにこえているので、安心してスローシャッター
がきれます。勝負の年ととらえているのか昨年発売されたばかりのGH5から1年経たずにこの2機種が発売されてい
るというのも驚きです。
GH5は写真と動画の両方がバランスよく撮れて、G9proは写真中心、GH5sは動画中心というすみ分けをしているようだ。
大きさも重さもそれほど差がなく操作性はほぼ同じである。動画か写真か?どちらを中心にするかで購入検討すれば
いいとメーカー側も考えているようだ。どちらもよく撮って1台で済ませたいという方にはGH5が最適といえるだろうか。
絵作り自体は内部センサーとカラーエンジンが同じであるため、大きく異なる画像・映像を出力するわけではないが
後発のGH5sは1000万画素という物足りなく感じる画素数でも14bitRAWでの撮影で色深度を確保し、高感度撮影時の
ノイズ軽減性能を大幅に進化させており、200%のアップコンバートでも十分耐える画質を提供してくれる。
だから“GH5sオススメ!”と言いたいところだが、この機種には手ブレ補正機能がないため、手持ち撮影をする
方にはお勧めできない。
どちらを撮るかで選ぶしかないようだ。
筆者が全てのカメラをテストして感じたことだが、極端なことを求めないのであればGH5が最も役立つというか
グローバルにいろんなものに対応可能ということ。
画質が他の2機種にやや劣るものの、仕事上で不自由を感じさせない。欠点をあえて言うなれば、暗部に弱いこと
とミラーレスカメラ特有のセンサーに埃が付きやすいことぐらいでしょうか。利点はレンズもその多くが軽量なので
手持ちのままハイアングルでの写真はもちろん、動画撮影もできてしまうこと。
古いデバイス(シンクロコードターミナルとメカニカルシャッター)にも対応しており、従来の大型ストロボ使用も
可能なので一台で何でも撮れてしまう。恐ろしいほど撮れる。
ちなみに動画と写真の両方を求められても4Kのハイダイナミックレンジ動画だけで十分カバーできる。
下の画像はその動画からの一コマで未調整だが、これだけの画質と解像度の良さがあるので、印刷にも耐える。
動画は手持ちだが、これだけ撮れてしまう。
これも三脚なしで撮れてしまう。こちらはカラーグレーディングを下のようにプレミアで簡単に施している。
(※上の横浜港動画最後のCP+内テスト映像はGH5sで人認識技術が向上し、完璧に追尾できている)
一眼レフスチルカメラの形をしたムービーカメラとはこのことでしょうか。
では写真撮影の性能は?
こちらは前回も紹介したミラーレスカメラだからこそできる4K6Kフォトのプリ撮影やRAWでの60連写(通常の連写)が特に魅力。
YRGBのローパスレスセンサーでローパスフィルターを使った従来タイプとは違う深みある自然でキレのある画像を
出してくれます。特に夜景撮影では光のにじみがなく、エッジ部分も色収差が少ないことが確認できました。
これだけの性能を持ちながら低価格と軽量化、快適操作性を実現してくれると年配カメラマンの筆者にはうってつけの
カメラかもしれません。
一眼レフの形をしたミラーレスカメラ、これが新しいスタイルかもしれません。
それからもう二つ欠点を言い忘れていましたが、上のファインダーも電気的な処理で像を映し出すので、プリズムファインダー
のような自然な画を見るのとはわけが違い目が痛くなります。そして何より遠くのものを直接見ているわけではないので
老眼の方は眼鏡が必要となります。GH5でのスチル撮影では完全なる手ブレ補正があるため、筆者は上部のファインダーを
覗きながら撮影しません。だからこのパーツに関しては今後無くなってもいいような気がします。
そしてもう一つ、電子シャッターの精度を上げていくことが必要で、現在の状態ではメカニカルシャッターのほうに軍配があ
がるでしょうか。新機種のGH5sではローリングシャッター歪み補正等の技術革新もありますが、まだ万能とはいかないようです。
それにしてでも、すでに頭打ちとなった一眼レフデジタルカメラでは出来ない技術満載で、これからも革新的なカメラが
出現しそうなお楽しみ感のあるミラーレスカメラは今後も伸びていきそうな予感がします。
なのでミラーレスカメラについては、これからも面白ネタが出そうです。