(1)クラウドで「持つ」から「預ける」へ
アドビのCreative Cloudが始まって3年が経過したのでしょうか。
早いものでCS6に始まりCC・CC2014・CC2015と着実に短期間で大型アップデートが行われて
います。CS6は転換期でディスクの販売もされており、ディスク販売はこれが最後という
ことで買いに走られた方も多くいらしたようです。
筆者はCS6が公開された時点でいち早くCreative Cloudに変更したこともあってクラウドで
のソフト管理にも慣れてきて、現在の環境には「やや満足」しているといえるでしょう。
何に満足しているかというと、定額制でアップグレードが短期間に実施され、クラウド
からほぼ自動で行われ追加料金が発生せず手間要らずであること。
さらにディスク時代と違ってMac・Winのどちらでも2台にインストールできること。
以前はディスクからソフトウェアをインストールし続けておりディスクのアドバンテージも
熟知しきってはいますが、流れには逆らえないのであっさりと変更しクラウド環境に合わせ
るべくシステム導入を進めてきました。ここでいうシステム導入は筆者の場合、カメラ映像
機器全てを含みますが、震災を契機に大きく重く多い機器を手元に全て置くことの間違いに
気づき、自宅内のサーバも危険と考え容赦なく一斉排除しました。
要するに全てをモバイル化することでした。ここでいう全てとはまさに全てでメインPCもで
す。そして世間もモバイル化の急速な進歩で、一般生活もビジネスもパソコンはタブレット
とスマートフォンに取って代わられ、今の時代は音楽、映像、写真など個人も企業も配信ビ
ジネスが主流となり、タブレットとスマートフォンでディスク主体のメディアは時代遅れと
なってしまいました。
このスマートデバイスと呼ばれる端末を生活であれ、ビジネスであれストレスなく使いこな
すには簡単にアクセスできるクラウドは不可欠となります。あらゆるデータ・ソフトウェアの
バックアップ等にどこからでも手軽に手を伸ばし使える雲のような存在です。
ただし、セキュリティー上の問題もあるので慎重さも必要となります。
さて、本題のアドビクラウドがどれぐらい進化をしたのか?ですが、クラウドが始まった頃
と同じタブレットのiPadと2015年から対応されるようになったアンドロイドOSタブレットで
テストを試みました。クラウドが始まったころはiOSにしか対応しておらずアンドロイドOS
上では使用できませんでした。
しかしこの問題も昨年解消され、アンドロイド端末でフォトショップ・ライトルームの作業が
可能となり着実に進化をしています。どうもアドビはスマートフォン・タブレット上で高度な
本格調整・修正・合成作業を目指しているようで、時間をかけて段階的にフィニッシュワーク
までできるソフトを作る気でいるように見受けました。
2015年半ばにはアンドロイド端末のアプリを提供し、アンドロイド上でもフォトショップ
エクスプレスとライトルームを使えることで端末を自由に選ぶことができるようになりました。
しかしiOS用にはさらなる先行アップデートがあり、3つの実用的なアプリを追加。
出だしのころは仕事では使い物にならないという印象大でしたが、今回のアップデートは
一味違いましたね。
メニュー別にアプリを分けているので、一つのアプリで全ての作業をこなす
ことはできません。しかし、アプリ自体も軽いため古いiPadでも快適に動作。
どのアプリもメニューは説明など不要で簡単操作できました。
そして肝心の仕上がり具合についてテストをしてみました↓
まずはファイルへのアクセスですが、初期のころにはなかったフェイスブックや
ドロップボックスへもアプリから直接アクセス可能となり、どのクラウドからでも
ストレスなく画像ファイルをダウンロードできて、初期の頃から比べて格段に
進化・変化しました。
上の画像はPhotoShop Mixで3つの画像をダウンロードして重ねてイメージ画像を
作る作業です。
波紋のカラー画像上に2枚の白抜きモノクロ花画像をのせて大きさを調整し花のみを
切り取りブレンド作業まで施します。
イメージ作りまでを終えたらレイヤーを置いたままで保存。
保存先はパソコンと共有し続きの作業をフォトショップのフルバージョンで開くこ
とを考えればアドビクラウドへの保存が望ましいでしょうか。
左のiPadで作ったイメージ画像をパソコン上のフォトショップで再度開いて再調整
を施し画像統合。「二度手間ではないか?」と思われそうですが、持って移動できる
タブレットでイメージが湧いたときに画像をどこでも開いてレイヤー表示のまま
保存しておけば、いつでも仕上げを短時間で出来るからとても便利なアプリだと
思いました。電車や飛行機の退屈な移動時間で有効に使えるのではないでしょうか。
次にPhotoShop Fixは顔の修正・変形を行うアプリですが、かなり優秀なアプリで
フルバージョンのPhotoShopCCでなくても十分完成された画像を作ることが可能では
と感じました。スポット修復ブラシツール同様に顔のシミ・しわ消しをなぞるだけで
出来てしまう。
目や口、顔の輪郭などの変形はいたって簡単、なぞるかポイントを指定しスライダー
を動かせば自在に顔の形や表情を変えられます。
ウェブ上で素早く使用したい時などにはiPad上で完成して納品まで出来そうです。
PhotoShop Sketchは取り込んだ画像を元にスケッチやイラストに出来るペイント
ソフトのようなもの。もちろん下絵なしでも描けますが、下絵がいつでもどこでも
だせれば、いつでもどこでもカメラオブスキュラ的な使い方が出来るので、写真家
よりもイラストレーターに合うアプリかもしれません。
以上がCreativeSyncテクノロジーを生かしてクラウドを介しタブレットを活用して
の主な作業ですが、いつでもどこでも手軽に誰もがフォトショップを使える環境を
整えようとしているのでしょう。それは画像の加工に限らず、スマートデバイス上で
の画像表示も意識してパソコンのフォトショップ上で各端末での表示が見れる
アートボードを昨年初めにだし、年末にはさらに進化させたことでも容易に理解できます。
最後にこれも昨年のCreative Cloudアップデートから始まったクラウドと連携して
画像をレンタルするというアドビストック。
数千万点という膨大な画像データをソフトウェアから直接検索をかけて開いて
使えるから、利便性とその数、クオリティからいって他のストックフォトは使
わなくなるのではとアドビの独占状態にならないか危惧してしまいます。
とにかく画像を扱うための全てを提供するようで、自身で撮影した画像を保管・展開・合成・
納品、さらには他人の画像も支払えば自由に使えるアドビのCreative Cloudは、自身で
画像を持たず、いつでもどこでもどのデバイスでもソフトウェアを立ち上げ作業できる
完璧な画像・映像・デザインツールへと進化し続けるのでしょう。
“画像・映像・イラスト・デザインはパソコンやメディアで持ち歩く
ものではなく預けて使いたい時に手軽に引き出し作業するもの”
なのでしょうか?
下の画像は撮影してWi-FiでiPadへ転送しiPad内のライトルームで加工。
その後クラウドへ保存しパソコンのフォトショップで最終色調整し印刷フィ
ニッシュした作品です。
最終印刷データ以外は全てクラウド管理なのです。
(2)レンズメーカーの実力
かつてレンズメーカーの製品はカメラメーカー製のラインナップにはない焦点距離と低価格が人気の要素でした。
プロの間でもけっこう使用されてはいたのですが、メインのレンズに据えられることはありえませんでした。
その理由はプロの場合、プロサービスを受けるため契約上、ある一定のレンズ数を揃え最高のメンテナンスを受ける
ことで、クオリティは別にして安心できる仕事環境を得られるからです。
だから、いくら価格が安くても故障の多い耐久性能が低いレンズメーカーの製品は主力としてチョイスするなど
もってのほかなのです。
しかし、デジタル化が急速に進み、カメラは(※1)高感度でありながら高画素・高画質化にシフトしだして、フィルム時代
では考えられなかった高性能のレンズを使用する必要が出てきています。
カメラメーカーが出す純正レンズとは違ったコンセプトと技術で生み出される魅力のある高性能レンズがレンズメーカー
各社から発売されるようになり、プロの間でも話題となっているようです。
そんな魅力あるニューレンズに筆者も心惹かれて話題のレンズをメインに据えて使うために購入し各種テストをしてみました。。
上の写真左はタムロンのニュー超広角レンズ15-30mmで手ブレ補正機構VCを搭載しているF/2.8の明るさを持ちながらレンズ収差を
大幅に抑えることに成功!独自コーティングなどの技術を駆使し、超広角レンズに発生するゴーストやフレアにも強いので
薄暗い室内で四方八方から断続的に突き刺さるようなスポット光下でのライヴ撮影に威力を発揮。今までの超広角レンズでは
考えられなかったクオリティを出せるのが魅力。
暗くてライティングができない場所での撮影はカメラマンの腕以上にブレ防止装置とレンズの明るさ、そしてレンズ収差補正が
仕上がりのカギを握っています。高性能レンズは厳しい条件の中でこそ使う意味があると改めて実感させられました。
次にそのお隣のシグマが新しく出したシリーズ「Art」。
18-35mm標準ズームでありながら解放値F1.8を実現!
全長121mm、質量810gと標準といっても大きくてずっしりした重さであるが、単体レンズを3本まとめて持つことを思えば
軽いもんです。フォーカス&ズームリングの動きも滑らかで動画撮影にも適しているのではないでしょうか。
そして、APS-Cサイズ専用レンズとはいえ、全焦点距離でF1.8が使えるから単体レンズ同様のボケ味が楽しめます。
それとは逆にシャープな画像も得られ、F1.8で平面撮影をしても周辺域の再現性が◎
これには正直驚いた!!
F/1.8 1/640秒の解放値でテストしているが画像左下を確認したが周辺域での再現性が解放値とは思えないぐらい良好。
同じく解放値で撮影、中央にある草の穂先にピントをあわせている。
解放値で中央の鳥にピントを合わせてみた。結果はごらんのとおり。
夕方18時の新宿中央公園、薄暗い中でISO800 F/7.1 1/8秒で水の流れと石垣の硬質感を表現。
シリーズ名に負けないアート表現が可能なレンズといえるのでは、、、
夜の手持ち撮影、ISO2000 F/2 1/40秒、暗部のノイズも少なく、街灯で発生するゴースト・フレアも程よく抑制できている。
ズームでありながら解放値F1.8を実現したが、絞りを解放撮影できるものなのか?
それを確認するのが今回の大きなテーマの一つであったが、予想をはるかに超える結果が得られたように思いました。
3つ目はタムロンの望遠SP70-200mm。
大きな特徴は三脚座を装着した状態で1470gという軽量。(ちなみにキヤノンは1490g、ニコンは1540g)
15-30mm同様の手ブレ補正機構VCと超音波モーターUSDを搭載しているので、望遠ズームではどれくらいの威力
を発揮するのか興味の湧くところ。露出時間を極端に低速に設定し、フラッシュを使用せず、
デイライトLEDと窓からの自然光を利用して撮影。
F11 1/40秒 焦点距離157mmで室内撮影、しかも手持ちであるがブレは全くない。
反対に解放値F2.8で1/200秒で撮影してみたが再現性は良好である。ピントだけ合えば解放値の撮影はおすすめ。
最後は今回の目玉、シグマArt50-100mmF1.8、4月に発売されたシリーズで最も話題となっているレンズだ。
APS-C専用ではあるが50~100mmをカバーしながらどの焦点距離でもF1.8の解放値で撮影可能!
質量が1490gと中望遠レンズとしてはかなり重いが、単体レンズ4本分ぐらいの性能を1本に凝縮していると言える
ので人物ポートレイトにはこれ1本があれば事足りるかもしれない。
ISO250 F/2 1/160秒で人物ポートレイト撮影。一般のズームではありえないF値で撮影しているがピントもボケ味も
文句のつけようがないぐらい良好。
ISO250 F/2.8 1/160秒 焦点距離100mmでペットを室内撮影。眼にピントを合わせているが、眼科判定にでも使えそうな描写力。
夜景のテストは手持ちでISO2000 F/1.8 1/80秒 焦点距離100mmだがブレもなければヌケもいい。
これなら夜間自然光下で手持ちの人物撮影が可能かも。
以上、簡単なテスト結果ですが、筆者はメインレンズとしての使用を考えてみることにしました。
また、今回は時間の関係上テストできなかったトキナーレンズも忘れてはいけません。テストをしていない
のでレンズの良し悪しは書けませんが、動画対応の本格レンズに加えてプロショップのためだけに供給する
通常スチル対応レンズに(※2)ギアを付けたバージョンというものがあります。
ユーザーの要求をくんで製品に反映してくれる対応の良さを評価したいですね。
(※1)近年の高画質高感度化でわずかなブレを感知し画像に反映されてしまうため、手ブレを補正することが各社の課題のひとつでもあります。
(※2)ギア付きのトキナーレンズを見たい方はプロショップ ギンイチへ。
(3)急速に進化するスマホカメラ『HUAWEI P9』
スマートフォン(※以後はスマホ)が流行りだした2010年ごろ、コンパクトデジタルカメラの一部機能
を搭載した携帯電話を数社が売り出していました。スマホ全盛の今となっては幻のように
思う方も多いようですが筆者も当時、ソニーエリクソン製のサイバーショット携帯を購入し、コンパクト
デジタルカメラ代わりに使用していました。画質はかなり良かったので重宝したのですが、スマートフォン
のように多種アプリを扱うためのOSがあるわけではないので、進化は頭打ちとなりこの手のカメラは終了とな
りました。2010年のこの講座にもその実力を掲載しましたが、高画質な撮影だけでは物足りないのが、
現在の携帯電話事情なのです。要は画像を加工・運用(FB、インスタグラムやツイッターへの掲載)するなど
送るだけではない撮影後の作業をオール・イン・ワンで出来ることが不可欠なのです。
さてさて、現在の携帯電話といえばスマホがその代名詞となり、老若問わず誰もが所持し、電車に乗れば
多くの方々がスマホをとり出してネット・メール・ゲーム・ラインなどを夢中で操作するのが常態化
しました。今やスマホはなくてはならない端末でしょうか。
そのスマホの進化の様子を覗くべく、今回はカメラ機能に特化してこのページのために検証。
検証するスマホはつい先ごろ発売され、ライカとの共同開発をしたダブルレンズ搭載で話題の
『HUAWEI P9』だ。どうもプロ顔負けの画像が撮れると豪語しているようなので、、、、
このスマホのカメラ機能が各所で話題をさらっている理由、それはカメラ業界で今も絶対的ブランド力の
ライカレンズであることと、2つのレンズから取り入れる色相情報と明度情報を独自技術で合成し今まで
にない色深度を表現できること。
さらに2つのレンズがもたらす副産物として視差を利用したF値のコントロールという離れ業も可能となる。
まずはその副産物からだが、画面上で絞り値を自由に変更。
もちろん変更できるといっても焦点距離・絞り固定で光学系の絞りとは違うので、正確過ぎてやや不自然さ
を感じなくもないが十分使える範囲と考える。(なかなかやるねー)
次に、このカメラ、いやスマホの画質だが、筆者はある程度の予測を立ててテストに臨んだ。
その予測とは、RGBのCMOSやCCDセンサーだけでは得られないダイナミックレンジが得られ、独特の
奥行きある画像が出力できるのではと。
上の画像がそれだが、予測通り厚みのある画像である。これは一旦Rawで保管し撮影後、内部で処理した
画像をパソコンに転送しフォトショップで再調整を施しているが、レンジが広いため破綻が少ない。
これはコンパクトデジタルカメラや一眼レフデジタルカメラのRawデータをも凌ぐのではと思わせる。
(驚きです!)
更に別カットをモノクロにしてからフォトショップ上でコントラスト等を調整テストするとどうなるか?
まるでフィルム撮影でモノクロ用フィルタをかけて撮影後にバライタ紙に手焼きで焼き付けたような
画像が出来上がり、さらに驚く筆者(*0*)
こうなると、いろいろと試したくなるのが職業カメラマンの性だろうか、古い機能だがパノラマで
の撮影がどのようになるのか見たくなるのである。
スマホにはこの機能が以前から付いてはいるが、いかんせん画質が悪く、印刷等高画質が求められる
仕事ではつかえなかった。しかしこのカメラ、いや『HUAWEI P9』のパノラマ画像は思った通りだ。
印刷する仕事でも十分使える!上の画像はフォトショップでの処理を施しているが、曇り空の状態
と下の建物の細部が表現できていて奥行きもあるし、眼に見える破綻も少ない。
パノラマ撮影の依頼があればこのカメラ、いやP9を使わないという手はないのでは。
以上のテスト結果だけでも心くすぐられるのだが、このスマホの最大の特徴ともいえるプロモードが
どういうものか、やや気になる。
プロモードではJpegデータ保管ではなくRawデータでの保管も選択可能で、撮影後に調整を施し
画像データ化することが可能なのだ。プロモードというぐらいだからEV値が操作できるのだろう
ことは想像がつくのだが、実際に数値を画面上で見ながら変えられるというのは楽しいものだ。
なぜならプロは押すだけで写るというオートやプログラム機能は苦手な方々が多い。やはり
マニュアルで決定したいものなのです。絵柄によっては機械から指示されるのではなく自分自身
で決定し、自分自身が適正だと考える後操作をしたいものなのです。
これはデジタルになってからそうなったのではと考えるアマチュアの方々もいらっしゃるでしょうが、
フィルム時代からあるものなのです。例えばモノクロは、手現像でネガを調整し、さらにプリント
でも覆い焼き焼き込み等で調整。カラーでもネガ撮影であればモノクロ同様、ポジ撮影では現像で
時間を変えてコントラスト・色の調整をしたり、あがってきたフィルムをレタッチや増減感することも
多々あったのです。
それにしてもこんなに操作の自由度が高く高画質な画像を得られるスマホが今まで存在したでしょうか?
なぜここまで凄い機能(アマチュアには到底使いこなせそうにない不要な機能)を付けたのか
少々考えてしまうぐらいの出来なのです。
下の画像はRawで保管し内部で調整しているものですが、特別なライティングは施してはいません。
今までのRGBセンサーでは表現できない白の部分のディティール滑らかさはプロ顔負けです。
露光量の調整だけで、他は何もしないでこれだけの仕上がりなのです。
そして今回のメインイベントですが、どれぐらい凄いかを証明すべく、現時点の最新一眼レフカメラ&レンズ
と比べればどうなるか?ということですが、ニコンのD500にシグマのアートレンズを装着し、同じ焦点距離
で撮影を試みた。
結果は?
ドライフラワー撮影で比較してみたが、描写力は劣るもののシャドー部のダイナミックレンジはP9に
軍配が上がるのではと感じた。そして色合いも自然である。それは人物撮影で如実に表れます。
LEDライトで人の肌を撮影したが、P9のほうが自然な色合いに感じました。
なんといっても色深度が深い!
やはり現在の技術では、RGBだけのセンサーだと色表現は難しいのでしょう。
最後にこれらのテストで得られた結果とこれからの展望についてですが、
新しい技術をどんどん投入してくるスマホは急速に進化し、コンパクトカメラはおろか、一眼レフ
デジタルカメラの機能と画質を近い将来追い抜いてしまうのではと。
「そんなことはありえないであろう」というプロの方々もいらっしゃるでしょうが、そういう方々は
一度このスマホを手にしてご自身で撮影し確かめていただきたい。
特にフィルムをよく知る方々は、撮った画像を見ると驚かれることでしょう。
総合的な結果判定としてはD500よりHUAWEI P9に軍配を上げざるをえません。
そしてこのままマイナーな進化しかできない頭打ちの一眼レフデジタルカメラはもっと別の技術で
新しいスタイルのカメラを作る必要があるのではないでしょうか。
※番外として動画もテストしてみましたが、こちらもレンジが広いので、後からエフェクトをかければ
シネマ映像のように仕上がりますね。出来れば動画撮影にも使いたいスマホです。
テスト動画は(((コチラ)))
(4)誰でも簡単に美しく料理撮影
コンシューマ向けののライティングシステムというのはずいぶん以前から写真用品を扱う大型ショップで
購入はできるが、実際に使っている方々(特に企業で知識もないのに撮影しなければならない方々)から直接
うかがうと「なかなかうまく使いこなせず、使わなくなり眠っている」というこたえがよく返ってくる。
確かに大きなライティングシステムが場所をとって埃をかぶっているという姿をよく見かける。
カメラ購入相談を多々されることあれど、ライトについてはあまり質問されない。
現実的にはカメラはどれもよく出来ていてライト選びが重要なのである。しかし、ショップへ出向いて
商品をチェックしても、どれもこれもコンシューマが使うには難しい品物がほとんどのような気がする。
新宿や秋葉原にある大型店の写真用品売り場を見て回っても簡単クイックセットアップで
狭い場所でも難なく撮影できるものとなると皆無ではないでしょうか。多くのメーカーではプロの写真家
に講座を開いてもらったりしながら、自社の製品をアピールして販売につなげようと躍起ですが、どうも
マーケティングが全くできていないようで、トンチンカンな商品しか作れていない。
だから国民全員カメラマン時代であるにも関わらず商品が売れない。
そしてこう言ってる筆者も同様の失敗を数年前にやっていた。
それはフィギュアを一眼レフデジタルカメラを使ってコンシューマが魅力的に撮るための入門書を撮影監修
したけれど、これをそのまま実行できるかというとハードルが高すぎたことに全く気づいていなかったのです。
何がコンシューマにとって困難か?
1.場所をとるライティング
2.複雑な操作とセッティング
3.付属品等多くの機材を使用
4.時間がかかる
5.高価である
この5つの問題なのです。
例えば、数年前の筆者の失敗ですが、以下の写真がソレでして
家にあるテレビや物干しを使用してはいますが、大掛かりでプロ用のパラソルやバー、スタンドを
使用しているため場所をとってセッティングに時間もかかるため、多くのコンシューマには実現不可能
であること。
この問題に全く気付かず本を作り続けていたのです。
よく見てみるとコード類も多いので面倒ですね。
これらの問題を全てとはいかなくても2、3だけでもクリア出来ている市販の製品というのも今のところ
存在しないようなので、料理などテーブルにおけるアイテムに特化して、全てクリアできるものを
今回自作し紹介することにしました。
そして出来上がったのがコレ↓
汎用のクリップオンストロボにボックス型のディフューザーを差し込み無線でとばしてマニュアル発光撮影。
一灯+レフ(反射板)を使って菓子パンを撮影しているが、ここで重要なことはストロボに取り付けるディフューザー
は差し込んでいるだけで軽くてしかもテーブルからはみ出していないこと。コードレスだから付属品は無線で
シンクロさせるためのラジオスレーブのみ。ディフューザーは発泡スチロールや厚紙を使用し、ディフューザー
の素材はA4トレーシングペーパーや破れて使えなくなったストロボの専用ディフューザーを使用。
厚さは7センチにして鞄や本棚に保管できるサイズにしています。製作時間も約60分すから製作費はせいぜい2,000円と
いったところでしょうか。
そして撮影したものが以下↓ですが、狭いスペースで簡単に撮影しています。
さらにこのディフューザーの特徴は、硬いからスタンドなしで縦横にしたり、下からのアッパーライトとしても
使用可能だということ。これを使って↓さらに簡単な応用撮影ですが、
縦・横でスタンドを使わず真横に置いてライティング。複写なども一灯で出来ます。
一灯でも光さえ柔らかければ以下のとおり。
複写もこの通り。名刺やはがきの複写ならこれで十分です。
スキャナに通して読み込むよりこのほうが断然速くてキレイ!
ちょっとした応用編ですが、被写体の下に一灯おいて、もう一灯同じライトを
横に置いただけの簡単白抜き撮影↓これも狭いスペースで撮影可能なんです。
さらに上を目指す方には二灯使っての簡単ライティングです。
これもテーブルをはみ出すことなく素早くセッティング。
サイドからと斜めバックからのアクセントライトで撮影します。露出バランスが
気になるところですが、露出計を使うというのはコンシューマ用とは言えないので
マニュアルで出力値を合わせてからプレビューで確認しながら出力調整。
ゼロからのセッティングで撮影まで1分かからずご覧の通りです↓
ちなみに使用しているストロボは、一台が古いものを使用していますが、もう一台は
アマゾンで購入した5,000円の品です。
これでも高くて大きいとおっしゃる方用にもう1アイテム。
牛乳パックを使った小型ボックスライトです。これも構造的には上のアイテムと同じで
数枚のディフューザーを内外に取り付けています。
使い方は上と同じで差し込むだけです。これもラジオスレーブを使って無線操作が便利ですね。
小さなものであれば、テーブルに置いてパソコンの隣で撮影出来て動かずして全て事が運びます。
最後に見た目それほど難しくはないのですが、1点だけ難問があります。
それはストロボ出力とカメラの露出をマニュアル操作しなければならないこと。
ハイアマチュアにはどってことないんですが、初心者にはハードルが高いと考えられるので、
ヒストグラムとプレビューで最適露出にこぎつける必要があります。
これさえできれば、簡単に料理の撮影は可能でしょうか。